デジタルカメラの有効画素数は、年を追うごとに増加しています。

まず、約10年前にはどんなデジタルカメラが発売されたのか、振り返ってみようと思います。

10年前のデジタルカメラ

  キヤノンから、「PowerShot G3」が発売(400万画素)

  富士写真フイルムから、「FinePix F601」が発売(有効画素数310万画素)

  オリンパスが「CAMEDIA C-5050 ZOOM」を発売(有効画素数500万画素)

といったあたりでしょうか。あと、今はなきミノルタから、DimageXが発売されました。屈折光学系を採用して、当時としては驚異的な薄さでしたが、確か200万画素だったと思います。(この機種は個人的に気に入って、2台くらい購入しました)

デジタル一眼レフは、キヤノンから「D60」が発売されて、これが約600万画素でした。その後に発売されたデジタル一眼レフも当時はそれくらいの画素数が多く、ニコンのD100も、ペンタックスのistDも同程度だったと思います。

まとめると、コンパクトデジタルカメラが200万画素~500万画素、デジタル一眼レフが600万画素程度でした。これくらいで特に画素数が不足ということもあまり聞きませんでしたし、むしろ「300万画素は多すぎる」とか「(画素数が多すぎると)画質が低下する」とか言われていました。

ちなみに、コダックが中判カメラ用1600万画素のデジタルバック発表したのも2002年でした。今では、エントリー機(一眼レフ)でもそれくらいの画素数ですね。

現在のデジタルカメラ

いや、それどころか現在のデジタルカメラは低価格の1万円台の機種でも1600万画素とか1800万画素を誇っています。

しかし、キヤノンの高級コンパクトデジカメなどは……たとえば「PowerShot S100」など……約1000万画素というところが面白いと思います。インタビュー記事を読んだりすると、どうやらキヤノンは約3年前くらいに高画素化から方針転換したようですね。

一方で、ソニーはコンパクトデジタルカメラに約1800万画素を搭載しつつあるところが対照的だと思います。

ニコンもD3を発売した頃には、(D3の)約1210万画素が「現時点で最適な画素数です」との発表でしたが、現在は約3600万画素の「D800」を発売していますね。

  【インタビュー】FXフォーマットは高感度画質のために

  ──D3は画素数が足りないという意見もあります。特にDXフォーマットにクロップした場合は、
  もう少し画素数が欲しいという声もあるのでは。

  いえ、現時点で最適な画素数です。ある意味ユニバーサルなカメラで、D2にあったXとHの
  両方を、1台のカメラで実現しています。初めに画素数ありきではなく、高速性を望む声、
  高画質を望む声の両方に応えた結果がD3の画素数です。(後略)

  ニコンD3・D300開発者インタビュー – FXフォーマットとDXフォーマットのダブルフラッグシップ

  –まず、D3にFXフォーマットを採用することになった経緯を教えてください

  ……これまでは総合的に考えてDXフォーマットが一番いいという判断でして、
  別に35mmサイズを否定していたわけではありません。そうして、いろいろな
  研究の積み重ねで、総合的に値段や性能などが「納得いただける」というとこ
  ろまで来た、ということで今回、D3の製品化に至りました。

  12M(1200万画素)という画素数ですが、プロのユーザーの画質に対する要望、
  それから幅広い仕事に対応しなければいけないというのがD3の企画上のキーポ
  イントになっています。一般に、ひとりのプロカメラマンでも撮る被写体は多岐にわ
  たるので、1台のカメラでスタジオのブツ撮りのようなカチっとしたものから、報道や
  スポーツのような激しい状況下で撮影するものまで全部カバーすることが求められ
  ます。すると、ある程度の画素数は必要ですし、感度域も高いところまで必要に
  なります。それらいろいろ考えると、12Mピクセルあれば相当幅広い仕事に対応で
  きて、高感度も実現できると判断しました……

少々引用が長くなりましたが、わずか数年前には1200万画素がフルサイズでも最適ということだったのに、現在にニコンは「D800」で約3600万画素、エントリー機で2400万画素というラインナップです。

総じて、現在の状況は、コンパクトデジタルカメラで1000万画素~1800万画素程度、デジタル一眼レフで1600万画素~4600万画素程度(有効画素数)といったところでしょうか。

ちなみに、デジタルバックはというと、PHASEONEの「IQ」シリーズが4000万画素~8000万画素です。

ついでながら、一昨年、キヤノンは一億画素のセンサーを発表しています。サイズはAPS-Hですから、作ろうと思えばいつでもフルサイズで中版デジタルバック並みの画素数のセンサーを作れると思われます。

印刷に必要な画素数は

ところで、画素数がどれだけ必要なのかを調べているうちに、こんな記事を見つけました。

  写真データの必要画素数

  広報紙製作にデジタルカメラで撮影した画像を使用する場合、どの程度の画素数が必要ですか。

  DTPで利用するデジタル画像は、必要な解像度が決まっています。一般的には、
  印刷線数の2倍といわれます。線数とは、印刷物の階調を表現する点のことで、
  1インチあたりの網点の数が多ければ印刷物は美しい仕上がりになります。

  線数は、モノクロの場合、133線から150線ですし、カラーは175線です。
  この数値から解像度を算出すると、モノクロの場合で300dpi、カラーの場合で
  350dpi必要になります。これは1インチの幅の中に300もしくは350の画素が
  必要であるという意味です。これが出力品質を保つための条件です。

非常に明確で、分かりやすい説明だと感じました。よく、きれいに印刷するためには「300dpi」とか「350dpi」が必要だといわれていますが、その根拠がこれだったのかという感想です。

また、「近くで見るワケじゃないから200dpiでも十分」などというのは、そうかもしれないけれど「近くで見るなら不十分」ということなのでしょうね、たぶん。

さて、「350dpi」ということになると、A4の用紙全面に印刷するには約1200万画素、A3だと約2400万画素が必要になります。

L版とかKG版のプリントだと、(サイズがいろいろなので)おおまかにいうと200万画素程度、2L版だと400万画素程度になるでしょうか。

今のところの結論

ノートリミングを前提とすると、2L版くらいまでのプリント用途なら400万画素程度あれば十分だと思います。もちろん、良好な画像データ、というのが前提ですけど。

また、ブログ掲載だともっと画素数が少なくてもよいでしょうね。

もちろん、大きくプリントするなら、それ相応の画素数で記録する必要があると思います。上の記事と、個人的な経験からの判断ですが、4つ切りだと1000万画素~1200万画素でしょうか。

それ以上の画素数ですが、「トリミングの余地」ということだと、2000万画素あってもいいと思います。
でも、無駄にデータサイズが大きくなっても扱いにくいので、「トリミング かつ 大きく引き伸ばす」のでないなら1200万画素で十分な気がします。

また、単に画素数よりも、レンズ性能とかセンサーサイズとか、何よりライティングの影響が大きいと思います。そういった「良好な画像データ」が得られているという前提で、1200万画素程度でしょうか。

ただ、ストックフォトなどの用途では、1600万画素以上のデータが求められることが多々あります。そういった用途で近い将来を見越してなら、2000万画素程度あるといいのかもしれませんね。

追記

「高画素の弊害」については、10年くらい前からずいぶんいわれてきました。デジカメの主流が200万画から300万画素になるときにもそうでしたし、400万画素や500万画素は「いったい何に使うの?」という意見もありました。最近では、1000万画素は多すぎ!という意見もあるようですね。

何年か前には、キヤノンのEOS50Dの約1500万画素が「無理がある」などど書かれていました。(後継機の60Dの1800万画素にはそういった意見を見かけなくなったのは不思議な気がしますが)

でも、現在の状況から判断すると、「1000万画素は多すぎる」というのは、あまり意味がありません。なぜなら、ほとんどのデジカメが1000万画素以上だからです。一眼レフに到っては、有効画素数が1000万画素未満のデジタルカメラは、何年も前に製造中止です。

もしも、1000万画素のデジタルカメラが「画素数が多すぎる」というのなら、いったい何を選べばいいのでしょうか?ニコンやキヤノンやソニー、ペンタックスなどのデジタルカメラで、1000万画素未満のデジタルカメラって、製造していますか?

さらに追記します

デジタルカメラの液晶モニターについて、最近は92万ドットから100万ドットオーバーのものも増えてきました。

以前は、2.7サイズで23万ドットくらいのものが多かったと思いますが、現在(2012-08-12)では3インチで46万ドットとか92万ドットのものが多いようです。

実際に撮影した写真を表示してみると、23万ドットではかなり荒い感じがしますし、92万ドットだとキレイに表示される印象を受けました。写真撮影した後、モデルの方に液晶表示をお見せすると、92万ドットだと「キレイ~」といわれることが何度かありましたから、やっぱりこれくらいの画素数はあったほうがいいのかなと思います。

46万ドットのものは、実用上は特に問題を感じないのですが、とりたてて表示がよいとも感じません。

ところで、3インチの液晶サイズを4倍にすると、だいたいL版の写真サイズになります。

そうすると、368万(92万の4倍)くらいあればキレイにプリント出来るのかもしれないと思いました。

2L版へのプリントだと、その倍の、736万画素くらいあればキレイにプリントが出来そうです。

さらに、「4つ切り」とか「W4切り」とかだと2L版の4倍程度の面積ですから、2946万画素が必要?

ただ実際の必要画素数は、プリントしてみないと何とも言えないところはあると思います。

でも、液晶モニターでの鑑賞を想定してみると「iパッド3」3が「2048×1536ドット」の液晶を搭載していますから、約300万画素は必要かな。そして、4K動画は(4096×2160)と800万画素以上ですから、数年先を見越すとそれくらいの画素数は必要でしょうね。

ということで、現在主流となりつつある92万ドット以上の液晶モニターと同等の表示品質を求めるなら、タブレット末端に表示で300万画素、大判プリントでは3000万画素程度なのかなと思いました。

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