先週末の3月9日に、キヤノンからコンパクトデジタルカメラ「PowerShot G1 X」が発売されました。
このカメラ、「キヤノン コンパクト史上 最高画質、完成!」というキャッチコピーです。
ということで、今回は、「高画質なコンパクトデジタルカメラ」について調べてみました。
さて、高画質ということですが、いったい何をもって高画質なカメラというのでしょう?
発売しているメーカーが高画質というカメラ?
雑誌等でそう書いてあるカメラ?
ネットでキレイに撮れると書いてあるカメラ?
高画素なデジタルカメラ?
レンズが明るい(レンズの開放絞りが小さい)カメラ?
いろいろな考え方があると思います。
便利なことに、ネット上にはたくさんの「作例」が出ていて、それらの中で「等倍表示可能」な画像を一つ一つ確認していきました。メーカーの公式ページや企業が運営しているデジタルカメラのサイト、また個人のブログなどもチェックしました。
そして、数日の時間をかけて一つの結論に達しました。(G1Xの発売前に行いました)
それは、「センサーサイズの大きなカメラが高画質」ということです。
ご存じの方も多いと思いますが一般的なコンパクトデジタルカメラで使われているセンサーのサイズと、デジタル一眼などに使われているセンサーのサイズは、面積が数倍以上の違いがあります。
その差はハッキリしていて、コンデジのセンサーの1.4倍の面積のセンサーとか、1.7倍の面積のセンサーとか……ありません。少なくとも現在(2012年3月)日本で市販されているデジタルカメラでは。
最初に書いたキヤノンのデジタルカメラを例に出すと、「PowerShot G1 X」は、「表面積が従来の約6.3倍」の新開発CMOSセンサーを搭載しているそうです。
そして、私が「作例」を確認していく中で、高画質と感じたコンパクトデジタルカメラの幾つかは、そうした「大きなセンサー」を搭載したものでした。
具体的な機種をあげてみます。
※画像はネットショップにリンクしています。
以前、「PowerShot G は小さいけれどEOSなんです」といった内容の記事を読んだことがあります。(少々うろ覚えですけど)
それはつまり、マニュアル撮影ができるとか、ストロボなどのEOSのアクセサリーがそのまま使えたりとか、ボディの上部にセレクトダイヤルが付いる等のことだったと思います。
コンデジですから、レンズ交換はできません。でも、EOSと同等の機能を備えていますよ、というメッセージだったように思います。
その当時は、デジタル一眼レフは非常に高価で、その主な理由は大型のセンサーにコストがかかっていたからだったと思います。
でも、この「PowerShot G1X」は、センサーサイズもEOSとさほど遜色がないほどに引き上げられています。少なくとも1画素あたりの面積は同等のようです。
※一般的には「画素ピッチ」を使うのでしょうけど、画素あたりの面積の方が分かりやすいような気がします。
PowerShot G1 X を発表(キヤノン)(関連記事)
したがって、EOSのデジタル一眼レフと同等の高感度画質だろうということは想像できますし、さらに画像エンジンが7D等よりも新しい「DIGIC5」なのでいっそう有利かもしれません。
PowerShot G1 X の高感度画質に驚きました!(関連記事)
また、「PowerShot G」シリーズとしては、初めてフルハイビジョン動画に対応というのが特長ですね。
ただ、多くの方の期待としては、一般的な「コンパクトデジタルカメラ」ではなく「ミラーレス一眼」の登場を願っているだろうな、とは思います。
公式サイト PowerShot G1X
PowerShot G1X 主な仕様 | ||
センサー | 18.7×14mm CMOS 約1430万画素 | |
レンズ | 28-112mm相当 F2.8-5.8 | |
液晶モニター | 3.0型 約92.2万画素 | |
連射(1秒間) | 通常:1.9コマ ハイスピード連射:4.5コマ(6コマまで) | |
動画記録 | フルHD ステレオ録音 | |
内蔵メモリー | - | |
撮影可能枚数 | 約700枚(光学ファインダー使用時) | |
大きさ・重さ | 116.7×80.5×64.7mm 約534g(バッテリー等含む) | |
そのほか | 別売りのフィルターアダプターあり(58mm経) |
DP1X(シグマ)
シグマの「DPシリーズ」は、コンパクトデジタルカメラにAPS-Cサイズのセンサーを搭載したことが大きな特長です。単焦点で、JPEGではなくRAW現像で本領発揮と、少々使いこなしに手間が掛かるかもしれませんが画質は良好です。
実は、この記事を書こうと思った直接のきっかけは、「DPシリーズ」のような高画質のコンパクトデジタルカメラを探して作例を確認し続けたことです。なかなかそういったデジカメは、簡単には探し出せませんでしたけど。
DP1XのRAW現像された写真には、驚かされました。くっきりとシャープで色のりが鮮やか。なんとなく、ペンタックスのデジタル一眼レフで撮った画像を思い起こしました。
ひとつだけ、「誤解されているかな」ということを書いておきますと、「出力画素数」は約460万画素ということです。有効画素数は、約1406万画素ですが出力される画像は「2,640×1,760」となっています。
公式サイト DP1X
DP1X 主な仕様 | ||
センサー | 20.7×13.8mm CMOS 約1406万画素(有効画素数) | |
レンズ | 28mm相当 F4 | |
液晶モニター | 約2.5型 約23万画素 | |
連射(1秒間) | (連続撮影モードあり) | |
動画記録 | QVGA:320×240 | |
内蔵メモリー | - | |
撮影可能枚数 | 未確認 | |
大きさ・重さ | 113.3mm×59.5mm×50.3mm 約250g(電池、カード除く) | |
そのほか | 専用レンズフードの装着可能 |
DP2X(シグマ)
こちらは、DP1の後に登場したDP2の、3代目モデルです。
DP1Xとの大きな違いは、DP1が28mm相当のレンズなのに対してDP2は41mm相当のレンズを搭載していることです。どちらが自分にとって使いやすいかは、それこそお好みで。
ただ、DP1XのレンズはF4ですが、DP2XはF2.8と一段明るいレンズです。結果として、DP2Xの方が望遠寄りということを考慮したとしても、手ぶれには強いと思います。
公式サイト DP2X
DP2X 主な仕様 | ||
センサー | 20.7×13.8mm CMOS 約1445万画素(有効画素数) | |
レンズ | 41mm相当 F2.8 | |
液晶モニター | 約2.5型 約23万画素 | |
連射(1秒間) | (連続撮影モードあり) | |
動画記録 | QVGA:320×240 | |
内蔵メモリー | - | |
撮影可能枚数 | 250枚 | |
大きさ・重さ | 113.3mm×59.5mm×56.1mm 約260g(電池、カード除く) | |
そのほか | 専用レンズフードの装着可能 |
X100(富士フイルム)
最近、富士フイルムは「画質」に力を入れていて、特に「X」シリーズは、高画質と評価が高いようです。そして「Xシリーズ」の中でも、大型センサー&単焦点レンズを備えたカメラがこの「X100」です。
もちろん、画質が悪いわけがありません。コンデジのように(というか、コンデジですけど)すっきりと見栄えのする、かつノイズが少なくクリアな画像だと感じました。早くいえば「レタッチしなくてもキレイ」と感じました。
ただ、この機種のユニークなところは、何といっても「ハイブリッドファインダー」でしょうね。「光学ファインターにLCDの画像を重ねる」という手法で、素晴らしいファインターという評価を得ています。
このハイブリッドファインダーについては、下記のリンク先記事が詳しくレポートしているので参考になさってください。
富士フイルム「FinePix X100」の“ハイブリッドビューファインダー”に迫る
また、公式サイトにはサンプル画像が掲載されていますので、画質についてはそちらでご確認いただけると思います。
公式サイト FinePix X100
FinePix X100 主な仕様 | ||
センサー | 23.6mm×15.8mm CMOS 約1230万画素(有効画素数) | |
レンズ | 35mm相当 F2 | |
液晶モニター | 2.8型 約46万画素 | |
連射(1秒間) | 5コマ 3コマ | |
動画記録 | 1280×720 ステレオ録音 | |
内蔵メモリー | 約20MB | |
撮影可能枚数 | 約300枚 | |
大きさ・重さ | 126.5mm×74.4mm×53.9mm 約445g(電池、カード含む) | |
そのほか | ハイブリッドビューファインダー |
X1(ライカ)
ライカのコンパクトデジタルカメラは、パナソニック等のOEMが多かったのですが、この「X1」は、ライカの独自開発モデルです。ライカの公式サイトでも「ライカX1は、”Made in Germany”の真のライカです」と書いてあります。(ただ、ライカブランドで売る限りにおいては、OEMといえども「ライカ」だと思いますが)
実売価格は20万円弱(2012-3現在)と、高価なカメラです。動画撮影機能はないし(そもそもマイク自体がありません)、液晶モニターが23万画素とか、他のハイエンドコンデジに比べると?のところはあるかもしれませんがスチール撮影に徹したカメラともいえるかもしれません。
「作例」は、あまり多くは確認していないのですが、少々シャープネスが強いように感じました。もちろん、一般的なコンデジとは一線を画す画質だとは思いますし、ライカブランドは大変魅力的です。
公式サイト ライカ X1
LEICA X1 主な仕様 | ||
センサー | APS-Cサイズ CMOS 約1220万画素 | |
レンズ | 36mm相当 F2.8 | |
液晶モニター | 2.7型 約23万画素 | |
連射(1秒間) | 3コマ 2コマ | |
動画記録 | - | |
内蔵メモリー | 50MB | |
撮影可能枚数 | 約260枚 | |
大きさ・重さ | 124x32x59,5mm 約286g(バッテリーを除く) | |
そのほか | コンバージョンレンズ取付可能 |
ということで、「高画質なコンパクトデジタルカメラ」は、センサーサイズの大きな(APS-C相当とかフォーサーズ相当のサイズ)カメラに限ると、以上の5機種があげられます。
ここでいうセンサーサイズの大きさですが、各社で表面積の違いはあるものの、一般的なコンパクトデジタルカメラに使われているセンサーよりも少なくとも数倍の面積です。
そういった中では、面積の多少の広さの違いよりも、「画像エンジン」とか「新しい技術が使ってあるか」の方が画質への影響は大きいと思いました。
また、ズームレンズか単焦点レンズかは、使い勝手に大きく影響があります。画質的には、単焦点のレンズの方が有利と思いますし、レンズの明るさもそうでしょう。
ただ、「この場所からあの山を大きく写したい」とか、「室内で集合写真を撮りたい」というときには、単焦点レンズでは対応が難しいことも多々あると思います。
どちらを選ぶかは、どういう用途に使うかでしょね。意外と単焦点レンズのモデルが多いのは、こうした機種はやはり「画質」を最優先にした結果かもしれないと思いました。
個人的には、動体撮影には一眼レフを使いますし、動画撮影は主にミラーレス一眼を活用しています。もちろん、コンパクトデジタルカメラもポケットに入れておくことが多いのですが、そういった意味では望遠や動画性能よりも良好な画質と携帯性の良さと速写性を求めます。
上の記事には書いていませんが、起動の速さも気になるところです。
追記
2012年6月に発売された、1型センサーを搭載するデジタルカメラ。動画撮影にはイマイチなところもあるようですが、静止画の画質は素晴らしいと思います。これだけの画質をこのサイズで実現しているところが素晴らしい。
公式サイト DSC-RX100
DSC-RX100 主な仕様 | ||
センサー | 13.2 x 8.8mm CMOS 約2020万画素 | |
レンズ | 28-100mm相当 F1.8-4.9 | |
液晶モニター | 3.0型 約122.9万ドット | |
連射(1秒間) | 約10枚/秒 | |
動画記録 | フルHD ステレオ録音 | |
内蔵メモリー | - | |
撮影可能枚数 | 約330枚 | |
大きさ・重さ | 101.6 x 58.1 x 35.9mm 約240g(バッテリー等含む) | |
そのほか | 60pのプログレッシブ記録に対応したフルハイビジョン動画 |
最後に、気になる価格については、下のリンク先でご確認ください。
私の場合は、リンク先のAmazoneで価格変動を何日か確認して購入することが多いように思います。ただ、高価なモデルについては、逆説的ですが高くても長年買い物をしているショップで買うこともあります。理由は、そのショップの保証がしっかりしていると思うからです。