「パンスターズ彗星」というネーミングの彗星が、今年(2013)の3月に太陽に近づき、おそらく肉感でも見ることができるそうです。
パンスターズ彗星というのは、2011年6月6日に、米国ハワイ州・マウイ島のハレアカラに設置されたパンスターズ1 望遠鏡による観測で発見された彗星です。発見時のパンスターズ彗星までの距離は、木星の軌道よりも遠い位置でした。
このパンスターズ彗星が最も近づくのは、2013年3月10日、そのときの太陽からの距離は約0.30天文単位、地球からの距離は約1.11天文単位です。
「天文単位」というと聞き慣れない方も多いと思いますが、ごくおおまかに説明すると、「太陽と地球との距離」のことです。
「地球からの距離は約1.11天文単位」というと、地球から見て太陽よりも少し遠いくらいの距離ですね。具体的なイメージとしては、国立天文台のサイトに図が出ていました。
さて、写真愛好家としては、写真に撮りたいという方も多いと思います。では、いったいどれくらいの明るさになるのかというと、「明るく見積もってマイナス1等級台、おそらくは0等級程度ではないか」とされていました。(2013年1月10日時点で)
この「0等級」の明るさというと、おりひめ星として知られる「こと座のベガ」が、それくらいの明るさです。このくらい明るければ、肉眼でも十分見ることができますね。
ただ、彗星がどの程度明るくなるか、コマや尾がどのような見え方になるかの予測はたいへん難しいそうなので、それほど明るく見えないかもしれません。
2月に入り太陽からの距離が1天文単位を切ったにも関わらず、当初の予測ほど明るくなっていないことから、「パンスターズ彗星の実際の最大光度はせいぜい3等級程度になる」という予測も出ています。
ところで、パンスターズ彗星の軌道は惑星の重力の影響により現在は放物線となっており、太陽に近づくのは今回一度きりで、二度と戻ってこない彗星だと考えられているそうです。そうなると、この機会にぜひ観測とか撮影したくなってきました。
なお、日本天文協議会では、「パンスターズ彗星を実際に多くの方に見ていただくために彗星観察キャンペーンを行う予定」だそうです。現在、キャンペーンサイトを準備中とのことですから、興味のある方は下のリンク先でご確認ください。
パンスターズ彗星(国立天文台)