「F1.8レンズ搭載、世界最薄ボティー。」のキャッチコピーで登場した「PowerShot S120」。デジタル一眼のサブ機として使える画質の良さと、ポケットに無理なく入るボティサイズで好評です。
前機種「PowerShot S110」よりも厚さが増していたため、発表当時(2013-08-22)は、個人的には興味の対象外でした。むしろ、「S110」のほうに魅力を感じて、購入したいと思っていました。
でも、9月になって発売されると販売台数は急上昇のようだし、新機能「星空モード」はすこぶる評判がいいようです。
いったいどちらが魅力的なのか(個人的に魅力を感じるかということデス)、いつものように「S110」と「S120」の違いについて調べてみました。
機種名 | PowerShot S120 | PowerShot S110 |
発売日 | 2013年9月12日 | 2012年10月12日 |
センサー | 1/1.7型裏面照射型CMOS | 1/1.7型CMOS |
有効1210万画素 | 有効1210万画素 | |
映像エンジン | DIGIC 6 | DIGIC 5 |
感度(ISO) | 80-12800 | 80-12800 |
手ぶれ補正(静止画) | 光学手ブレ補正(IS):3.0段(テレ端) | 光学手ブレ補正(IS):約4段分 |
レンズ(換算) | 24-120mm | 24-120mm |
F1.8-5.7 | F2.0-5.9 | |
AF合焦速度 | 約0.1秒 | 約0.2秒 |
レリーズタイムラグ | 0.1秒以下(撮影タイムラグ0.13秒) | 0.1秒以下(撮影タイムラグ0.25秒) |
液晶モニター | 3.0型 92.2万ドット タッチパネル | 3.0型 46.1万ドット タッチパネル |
連射(1秒間) | 12.1枚/秒 6枚目以降9.4枚/秒 | 10枚/秒 10枚まで |
動画記録 | 1980×1080 60fps ステレオ録音 | 1980×1080 24fps ステレオ録音 |
内臓メモリー | - | - |
起動時間 | 1.2秒 | 約1.7秒 |
撮影可能枚数 | 約230枚 | 約200枚 |
大きさ | 100.2×59.0×29.0mm | 98.8×59.0×26.9mm |
重さ(電池等含む) | 約217g | 約198g |
そのほか | RAW記録 Wi-fi 星空モード など |
RAW記録 Wi-fi など |
まずは、いつものようにスペックを表にして比較です。
パッと見て分かるように、多くの項目で「PowerShot S120」が勝っていますね。
少々解説が必要かもしれませんので、項目ごとに説明させていただきます。
センサー
スペック上は変更なしですが、S120は裏面照射型になっているので、より高感度に強いと思われます。
※どれだけの進化かしているか、という数値は見つかりませんでした。
なお、この「1/1.7型」というサイズは、多くの高級コンパクトデジタルカメラで現在採用されています。
映像エンジン
これは、キヤノンの得意分野ですね。以前からキヤノンのカメラは、センサー性能に対して高感度画質が優れていると言われてきました。これは、キヤノンの映像エンジンが優秀だからだと思います。
「S120」で採用された「DIGIC 6」ですが、キヤノンの公式サイトによると「DIGIC 5搭載機と比べて約9倍の情報量を処理することができるため、ノイズとディテールをより正確に判断。ISO1600時のノイズ量は、DIGIC 5搭載機のISO400相当に抑えることができます」とのこと。
上記の説明は、公式サイトの動画撮影に関したページに記述してあるものですが、静止画においてもノイズ低減は図られていると思います。
レンズ性能
この「PowerShot S」シリーズは、「PowerShot S90]以来ずっと「F2.0」の明るいレンズを搭載してきました。その明るさはフラッグシップ機「PowerShot G」シリーズを上回るほどでした。
今回登場の「PowerShot S120」は、さらに明るい「F1.8」レンズを搭載していますので、今まで以上に暗所に強く、大きな「ボケ」を写すことができると思います。
ただし、「F2.0」と「F1.8」との差はそれほど大ないので、ハッキリとした差は感じにくいかもしれません。
※「F2.0」と「F1.4」ですと明るさに1段の差があるので、差が明確だと思います。ちなみに、Leicaの「D-LUX 6」とかPanasonicの「LX7」とかが「1/1.7型」のセンサーで「F1.4」を実現しています。
今回、ボディサイズが大きくなったのは、レンズが変わったことが大きいと思いますが、個人的には厚みが薄い方がメリットを感じます。
オートフォーカスの速度
オートフォーカスの速度は、今回のモデルチェンジで大きく進化!!
「S110:約0.2秒」→「S120:約0.1」と半減しています。
また、撮影タイムラグ(AFタイムラグ+レリーズタイムラグ)も、着実に短縮されています。
PowerShot S120:約0.13秒
PowerShot S110:約0.25秒
PowerShot S100:約0.4秒(参考)
「S120」は、「S110」に比べて約半分、「S100」と比べると約1/3の速さです。
この調子でいくと、来年登場するであろう新型機(S130?)は0.1秒を切るかも?
液晶モニター
「S120」の約92万ドットで、ようやく「高級コンパクト」の標準的なスペックに追いついた感じです。
連射速度
「PowerShot S110」も「10枚/秒」の高速連射が可能でした。
ただし、「撮影モード」を「ハイスピード連写」にすることでのみ可能な速度です。
これは、「現像を撮影後にまとめて行うことで連写を高速化」するもので、「最大約10コマ/秒の撮影が可能」となっていました。逆に言えば、「10枚/秒」の高速連射は10枚で終わりです。
これに対して「PowerShot S120」は、5枚目までは「12.1枚/秒」で、それ以降も「9.4枚/秒」でメモリーカードいっぱいまで連射可能のようです。
※どちらの機種もフルサイズ(1200万画素)での連射速度です。
動画撮影
どちらも、「フルハイビジョン ステレオ録音」が可能です。
ただ、さまざまな面で「PowerShot S120」の方が進化しています。
○動画撮影時の手ブレ補正が進化「5軸手ブレ補正」
光学手ブレ補正に加え、平行移動時の電子ブレ補正や水平・縦回転の歪み補正も可能。2つの補正の連携で、高度な手ブレ補正を実現。
○60pフルハイビジョン動画
1秒間に60枚の静止画が記録可能となり、「PowerShot S110」の24pモードと比べて2倍以上のコマ数で、よりなめらかで高精細な画像。
さらに、ビットレートはビデオカメラに並ぶ約35Mbpsを実現。
○「DIGIC 6」による低ノイズ化
ISO1600時のノイズ量は、DIGIC 5搭載機のISO400相当に抑えることができるようです。
○高画質&高圧縮を両立する「MP4フォーマット」
Android™端末をはじめ、幅広いデバイスに対応するMP4(MPEG-4)の記録形式に対応。
また、従来よりも高圧縮率を実現。(ファイルサイズを約40%低減)
動画中光学ズーム
「S120」は、最大5倍までフルハイビジョン画質のままズーム撮影が可能。
起動時間
「S110」の約1.7秒から、「S120」の約1.2秒へと、体感できる速さの向上がありました。
ちなみに、旧機種「S100」の起動時間は約1.6秒、「S95」は約1.5秒、「S90」は約1.4秒です。
参考までに記しておくと、「S80」は約1.7秒の起動時間でした。
大きさ・重さ
これは、前機種「PowerShot S110」の方がスリムで軽量ですね。「S120」の「29.0mm」は、個人的にはギリギリ許容範囲です。
その他の機能
「星空モード」は、やはりポイント高いと思います。
それから、「星空モード」とも関係するのですが、シャッタースピードに大きな進化がありました。
「S110」 15~1/2000秒(撮影モード:Tv、M)
「S120」 15~1/2500秒(撮影モード:TV)
250~1/2500秒(撮影モード:M)
というように、シャッタースピードの幅が広がっています。速いほうの「1/2500秒」も進化していますが、スローシャツターが「15秒」から「250秒」へと格段に進歩しています。
簡単に言うと、これによって夜間などの長時間撮影が可能になりました。ポイントとなる「星空モード」は、この性能向上で実現できた新機能ですね。
※「星空モード」については、下欄「関連記事」の「PowerShot S120 レビュー集」または、公式サイトをご参照ください。
また、花火撮影でもスローシャッターは活躍しそうです。(15秒を越えるスローシャッターを使う機会は、たとえば花火と一緒に背景を写すときなどに便利です)
まとめ
発表当初は、レンズの明るさと厚みが増したことぐらいしか興味がなかったのですが、意外と広範囲に渡って改良されていました。特に、「起動時間」や「撮影タイムラグ」などの向上はすばらしいと思います。
前モデル「PowerShot S110」も、決して動作がもっさりしていたわけではなく、むしろ俊敏な動作という印象でした。それがさらに進化したというところに、キヤノンがこのシリーズにいかに力を入れているかが感じられました。
新旧二つのモデルを比べてみるまでは、「PowerShot S110」の方に心ひかれていたのですが、調べ終わってみるとほとんどの点で新型「PowerShot S120」の方が優れているという印象です。
動画撮影性能の向上も、特筆ものです。今までビデオカメラとデジカメと2台体制だったのが、用途によっては1台ですむかもしれません。ただし、動画と静止画の同時記録は2台体制がいいでしょうね。
公式サイト
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現在(2013-10-13)、価格差は約6千円のようです。
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