CANONから、2019年9月20日に「EOS 90D」が発売されました。
もともとは9月の中旬発売予定とアナウンスがあり、いったんは9月12日に発売が決定されていました。
しかし、「台風15号の影響」から、この日の発売となりました。
「90D」というネーミングから分かるように、「EOS 80D」(2016年3月25日発売)の後継機です。
ただ、スペックは上級機である「EOS 7D MarkⅡ」を超えているところもあるなど注目すべき点の多いモデルです。
◆EOS 90D の性能 スペックと他の機種との比較◆
APS-Cセンサー最高の画素数 3250万画素
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まず、目を引くのがAPS-Cセンサー搭載モデルでは世界最高画素数となる有効画素数約3250万画素のCMOSセンサーです。
前モデルの「EOS 80D」は、有効約2420万画素でしたから、約1.34倍の画素数ですね。ただ、3000万画素オーバーというのは、数字的なインパクトは大きいと思います。
ちなみに、ライバルとなるであろうニコンの「D500」は有効約2088万画素、上級機の「EOS 7D MarkⅡ」は2020万画素です。
もちろん、「多画素=高画質」というわけではありません。たとえば、キヤノンのプロ機「1D系」は昔からキヤノンの一眼レフでは比較的少ない画素数でした。
現在でも、フラッグシップの「EOS 1DX MarkⅡ」は、「EOS 7D MarkⅡ」と同じスペックである2020万画素です。
ただ、そうは言っても、3000万画素オーバーというと心おどるものがありませんか?
私などはミーハーなので、ついついどんな感じなんだろうかと期待に胸が高鳴ってしまいます。
それで、どれくらいの写真が撮れるのか、データの大きさを視覚的に比較してみました。

まずは、「EOS 90D」の有効約3250万画素です。
最大画素で横6960ピクセル縦4640ピクセルなので、横縦ともに1/20の画像を作ってみました。
以下、同じようにして作成した1/20画像です。

「EOS 80D」の有効約2420万画素です。ハッキリと大きさに違いがありますね。
ただ、意外と数字のインパクトほどの差はないと感じました。
みなさんは、比べてみてどう思われましたか?
ちなみに、最大画素で横6000ピクセル縦4000ピクセルです。

「EOS 7D MarkⅡ」の有効約2020万画素です。
「EOS 80D」の画像よりも、少しだけ小さい感じですね。比べてみても違いはそれほどではない感じです。
ちなみに、最大画素で横5472縦3648ピクセルです。

ニコン「D500」の有効約2088万画素です。
「EOS 7D MarkⅡ」の2020万画素とほとんど同じ大きさですね。比べてみても違いが分かるかどうか微妙です。
最大画素で横5568縦3712ピクセルです。

ラストは、キヤノンのフルサイズ機「EOS 5DsR」の約5060万画素です。
最大画素数で、横8688ピクセル縦5792ピクセルです。これだけ多画素だと、違いは一目瞭然ですね。
今日のところは、ここまで。続きはまた明日書きます。
常用ISO感度25600を達成
画素数の次にチェックするのは、高感度画質です。常用ISO感度25600は、キヤノンのAPS-Cセンサーを搭載したデジタル一眼レフでは初めて!
もちろん、どこまで常用感度とアピールするかはメーカーの自由です。極端な話、ノイズだらけの画質であっても「常用ISO感度100万」などとするのもアリかもしれません。どこまでが「常用感度」という各メーカー共通の規格はありませんしね。
でも、キヤノンの中では一定の基準があるはず。その「基準」の中では、今までの最高性能というのは推測できます。
ただ、ちょっと心配なのは、「EOS 80D」から画素数がアップしているのに高感度画質も向上しているというのはホントかな?ということ。
私はキヤノンの二桁機が好きで、実のところ初代の「EOS 10D」から使っています。
そして、「EOS 20D」「EOS 30D」(ともに約800万画素)と高感度画質の良さに感心しつつ使っていたのですが、「EOS 40D」で初めて1000万画素を使ってみると、若干ですが高感度のノイズが増えたと感じました。
たった200万画素増えただけなのに・・・
そういう経験から、画素数アップにもかかわらず、高感度画質が向上しているというのは検証が必要かなと思いました。
ただ、「画素数アップにもかかわらず高感度画質も向上した」というのもありました。
「EOS 10D」の約600万画素から「EOS 20D」の約800万画素になったときがそうです。
コンパクトカメラだと、「PowerShot S90」の約1000万画素から「PowerShot S110」を買い増したときには、画質の向上が顕著でした。あまりに気に入ったので、「S110」は色違いで2台も購入したくらいです。
ということで、「画素数アップで高感度画質が低下」の場合も「画素数アップで高感度画質も向上」のケースもどちらもキヤノンカメラで経験しています。
今回の「EOS 90D」の場合は、どうでしょうか?
ちなみに、「EOS 90D」のスペシャルサイトでは、航空写真家のチャーリー古庄さんが、こんな感想を寄稿していました。
動体を撮るAPS-Cでは、私が使ってきた中でもっとも高性能なカメラだと感じた。
バッテリーの消耗が少ないのも魅力的だし、
ここまで高感度に強いのもAPS-Cでは他に知らない。
チャーリー古庄さんについては、デジタルカメラマガジンなどの写真雑誌でよく記事を見ていましたから、なんとなくこの感想が気になりました。
ちなみに、チャーリー古庄さんはギネス記録保持者です。
「世界で最も多くの航空会社に搭乗しているギネス記録を持つ」とのこと。
そんなこんなで、期待と疑問とを抱きつつ、高感度画質を確認してみることにしました。
というあたりで、夜も更けてきたので、続きはまた。
さて、高感度画質が向上したかどうかの確認です。
海外サイトの「https://www.dpreview.com/」に早くも画像データがアップされていました。さっそく、見てみましょう!
「EOS 90D」と「EOS 80D」との高感度画像を比較
ISO 800の画像


引用:https://www.dpreview.com
左(上)がEOS 80D 右(下)がEOS 90D の画像です。
一昔前だと、「ISO 800」というと、けっこうな高感度だった気がします。
でも、今ではこれくらいの高感度では、ノイズなんてこれっぽっちも感じません。感じたとしたら、今の気持ちにノイズが乗っているのかも(笑)。
ISO 3200の画像


引用:https://www.dpreview.com
左(上)がEOS 80D 右(下)がEOS 90D の画像です。
現在のデジタル一眼レフだと、「ISO 3200」くらいは平気でバンバン使える範囲ですよね。
よーく見ても、ノイズなんてどこ?
ISO 12800の画像


引用:https://www.dpreview.com
左(上)がEOS 80D 右(下)がEOS 90D の画像です。
あまり使うことはないかもしれない、「ISO 12800」。さすがにこれだけの高感度だと、少しノイジーになって彩度も低下が感じられます。
ただ、同じ大きさにリサイズしているということもあって、どちらが「EOS 90D」?
まだまだ差はわずか。ただ、目のいい人が画像を見比べたら、どちらが「EOS 90D」なのかカンタンにわかるのかもしれません。
もっとわかりやすい画像で比較ということで、「EOS 80D」の設定限界となる「ISO 25600」の画像も見てみましょう!
ISO 25600の画像


引用:https://www.dpreview.com
左(上)がEOS 80D 右(下)がEOS 90D の画像です。
これくらいの高感度だと、画質差がハッキリと感じられますね。
「EOS 90D」のほうがクッキリとした画像。
ということで、結論としては「高感度画質は向上している」と言えそうです。
「EOS 90D」のほうは、この感度でも使えそうな画質。
さらに「ISO 52100」についても、設定可能な別機種と比べてみましょう!
ということで、後日に続きます。
「EOS 90D」と「NIKON D500」との高感度画像を比較
ISO 800の画像


引用:https://www.dpreview.com
左(上)がD500 右(下)がEOS 90D の画像です。
どちらもクッキリしてクリアな画像です。
「EOS 90D」のほうが色がこってりとした画像。
「D500」のほうは露出が明るめに出ている感じですね。
ISO 3200の画像


引用:https://www.dpreview.com
左(上)がD500 右(下)がEOS 90D の画像です。
どちらもノイズが乗っている感じはありません。
ただ、「EOS 90D」のほうはISO800の画像と比べると、ほんの少しざらつきがあるような気がします。もっとも、数回見比べてそう感じるレベルなので、L版とかにプリントしたら見比べても分からないかも。
一方、「D500」のほうは、よく見比べても画質の差は分かりませんでした。
ISO 12800の画像


引用:https://www.dpreview.com
左(上)がD500 右(下)がEOS 90D の画像です。
どちらも、まだまだ良好な画像ですね。
しかし、「EOS 90D」のほうはあごの下から首にかけて、ノイズが発生しています。光が十分なところはノイズが少なく、暗いところだとざらつく感じかな。
「D500」のほうも、明度が低いところはノイズが感じられますね。
ISO3200と、ISO12800とは、けっこう画質に差がありますね。
ISO 25600の画像


引用:https://www.dpreview.com
左(上)がD500 右(下)がEOS 90D の画像です。
超高感度のISO25600、これだけの高感度画像でも、2機種ともに「使える画質」というのがすごいところ。
ただし、「EOS 90D」は、この感度設定が「限界」というか、これ以上の高感度は設定したとしても非常用かな。
驚いたのは「D500」のほう。APS-Cサイズのセンサーで、ここまで高感度の画質がノイズレスなのは予想外でした。フルサイズと真っ向勝負ができそうです。
ISO 51200の画像


引用:https://www.dpreview.com
左(上)がD500 右(下)がEOS 90D の画像です。
いよいよ超超高感度のISO51200です。
どちらも「JPEG」での画像ということもあって、ノイズは予想以上に抑えられている印象。
ただ、「D500」のほうは彩度が低下し、のっぺりした画像のように感じました。
そして、「EOS 90D」のほうは「拡張設定」なので、低感度画質と比べると、ざらざらした感じで非常用ですね。
「EOS 90D」のライバルは?
さて、ここで話題を変えて、なぜ「D500」を取り上げたのか理由を説明しておきます。
まず、どちらも「一眼レフ」であるということが最大の理由です。
現在はミラーレスカメラが多くなって、一眼レフを製造しているメーカーは少なくなっています。
以前はソニーもオリンパスもパナソニックも一眼レフを作っていました。
ですが、現在(2019-10)は、たったの3社しか一眼レフを作っていません!
※国内メーカーの話です
それは、キヤノンとニコンとペンタックスです。
そして、みなさんが一眼レフを購入する際に重視するのは何でしょう?
画質?連写性能?防塵防滴?
他にもオートフォーカスの性能やセンサーサイズ、発売年月などいろいろあると思います。
ただ、実際に購入するときに必ず確認するものがありますよね。
他の性能やスペックは見なくても、ほとんど多くのみなさんが確認するもの、それは販売価格ではないでしょうか?
それで、現在販売されているデジタル一眼レフの価格を調べてみました。

引用:https://kakaku.com
上の表を見てわかるように、14万円台に3機種が並んでいます。
「EOS 90D」と「D500」と、そしてフルサイズセンサーを搭載する「EOS 6D Mark2」です。
この中で、APS-Cサイズのセンサーを搭載するのが「EOS 90D」と「D500」というわけです。
ということで、メーカーの位置づけ(フラッグシップか中級機か)や発売年月(2016年1月,2019年8月)という違いはあるものの、ほぼ同じ予算で購入できるということで「D500」を取り上げました。
また、センサーサイズは違うものの価格がほぼ同じ「EOS 6D Mark2」も、「ライバル」になり得ると思いますので、高感度画質のチェックに戻って比べてみましょう。
「EOS 90D」と「EOS 6D Mark2」との高感度画像を比較
ISO 800の画像


引用:https://www.dpreview.com
左(上)がEOS 6D Mark2 右(下)がEOS 90D の画像です。
同じキヤノン製のカメラだけに、かなり似た画像ですね。
色合いも、そっくり。
ふたつの画像を見比べても、どちらがEOS 90D か分かりませんでした。
ISO 3200の画像


引用:https://www.dpreview.com
左(上)がEOS 6D Mark2 右(下)がEOS 90D の画像です。
これくらいの高感度だと、ほんの少し画質に差を感じます。
「EOS 6D」のほうがクッキリした画像だと思いました。でも、よく見比べて初めてそう感じるレベル。
ブラインドテストだったとしても、自信をもってどちらの画像か言い切れる人は少ないと思われます。
ISO 12800の画像


引用:https://www.dpreview.com
左(上)がEOS 6D Mark2 右(下)がEOS 90D の画像です。
超高感度の「ISO 12800」ともなると、ふたつの画像の画質差がはっきりしてきますね。
「6D Mark2」は、この感度設定でも、画質の低下はほとんどない感じです。


引用:https://www.dpreview.com
左(上)がEOS 6D Mark2 右(下)がEOS 90D の画像です。
さあ、超超高感度のISO51200です。
これだけ画質に差があると、一発でどちらのカメラで撮ったかが分かりますね。
「EOS 90D」高感度画質のまとめ
「EOS 90D」と前モデルの「EOS 80D」、そして現在(2019-10)の価格がほとんど同じニコン「D500」と「EOS 6D Mark2」の4機種について、高感度で撮影した画像を比較してみました。
「ISO 800」と「ISO 3200」については、どの機種も良好な画像で、ほとんどノイズの影響を感じませんでした。
ただし、メーカーごとの露出の差や色合いの差があって、ニコンとキヤノンとでは絵作りに違いがあるのが分かりました。
ごく大ざっぱに言えば、ニコンは明るい画像で唇の色は朱色に近い感じ。キヤノンは暗めの画像で唇の色は、えんじ色に近い感じだと思いました。
もっとも、明るさに関して言えば、露出補正で暗くも明るくもできますからカンタンに違いの幅を縮めることができます。
ちなみに、キヤノンの場合には、以前はエントリー機種の「KISS」系は、中級機である二桁機よりも少し明るめの画像でした。
現在はどうかというと、詳しく比較していないので分かりませんが、エントリー機のほうが後で画像補正をしなくて済むようにパッと見たときの見栄えの良い画像にチューニングしていると思います。
高感度の画質に戻ります。
「ISO 12800」になると、「80D」と「90D」に少し画質差が感じられるようになります。「90D」のほうが良好な画像で高感度性能が向上していると感じました。
逆に言えば、これだけの高感度でないとハッキリとした画質差は生じないと言えるのかもしれません。
「ISO 25600」になると、画質差がさらに広がる印象ですね。
また、高感度画質の順位を付けるとしたら、個人的には次のようになります。
高感度画質ランキング(今回の4機種)
1位 EOS 6D Mark2
2位 ニコン D500
3位 EOS 90D
4位 EOS 80D
とはいうものの、「ISO 3200」までは、どの機種も良好な画質なんですけどね。
そうすると、コストパフォーマンスというか価格まで考慮すると、4位の「EOS 80D」が、もしかすると「1位」なのかもしれません。なにしろ「EOS 80D」、現在(2019-10)の最安値は、78000円程度。「EOS 90D」や「D500」の半額近い価格ですから。