デジタルカメラマガジンの「8メーカー横断インタビュー」で、山木社長のことを初めて知った。

各社の回答者の中でも山木社長は、ひょうひょうとしている印象で、なんとなくハッキリしないという感じもした。

 -来年のそのカメラというのはおもしろそうですか。期待してもいいですか。

 山木 うーん。どうですかね。

 -期待しなくていいってことですか(笑)。

 山木 いやそんなことないですよ。それはないですよ。
     ぜひ期待していただいてけっこうです。

といった感じなのだ。インタビューの中で、山木社長は繰り返し責められていて

 -どう責任をとるんですか(笑)。

 山木 今後の開発で埋めていきたいと思います。

とか、

 -SD1で期待を裏切った、そのお詫びのシルシみたいなものがほしいなあ。

 山木 これからの製品に期待をしていただきたいということですね。
     なんか裁判みたいな感じ(笑)

 -期待に添うような製品が近々出てくると。

 山木 というと、またなんかね……。

というインタビュー記事が掲載されていた。(デジタルカメラマガジン 2012-1)

どうやら、シグマのSD1が期待していた価格よりもずいぶん高かったことについての話らしかった。

中級機の価格かと思っていたら、ずいぶん高価だった……調べてみると60万円くらいの価格……という話である。

でもって、先日のSD1 Merrill を発表(シグマ)の記事で書いたように、今度は価格を大幅に下げてきた。

予想では、20万円前後になるということらしい。

どうしてこんなに安くなったかというと、高価なセンサーを安く製造出来るメドがたったらしかった。

先ほどのデジタルカメラマガジンのインタビューでも、コストがかかったのは、

   間違いなくセンサーの開発です。

との回答が載っていたので間違いないだろうと思う。

さて、前書きが長くなったが、今回のことで感心したのはシグマのプレスリリースの内容である。

「SD1 Merrillの発売について」の新着発表で、次のように書いてある。

……SIGMA SD1 Merrillは、唯一無二の個性をもつSIGMA SD1の最高画質はそのままに、価格だけを大幅に改訂しております。製造方法の一部を見直してはいるものの、センサー自体の性能や特性は一切変わっておりません。これまでの画質観を一新する「高画質」とともに、撮影者に内在するアーティスティックな感性を覚醒させる新時代のデジタル一眼レフカメラとして、このSIGMA SD1 Merrillを実際に体験いただけるなら、これにまさる喜びはありません。

一方で、すでに現行のSIGMA SD1をお買い上げいただいたお客さまには、大きな期待と決断をもってお求めくださったカメラとまったく同じ仕様の製品が、1年後に大幅な価格改訂のもとで発売されることについて、いかなる理由があろうともご納得いただけるものではないという点についても、重々承知しております。

何よりも、万難排してSIGMA SD1をお買い上げくださったお客さまは、とりわけ当社にとって特別な存在であると認識してまいりました。ですから、そうしたお客さまにわずかでもご不快やご懸念を抱かせる事態を招いたとすれば、それは、当社にとってまさに痛恨の極みであるといえます。

この間、当社としてお客さまへのこうした気持ちをどう表せばよいか、よく検討してまいりました。現在、現行のSIGMA SD1をお買い上げいただいたお客さまには、40万円相当の当社製品と交換できるサポートプログラムを検討しております。当該プログラムはSIGMA SD1 Merrill発売後から2012年度末までご利用いただけ、当社の現行製品ならびに、今後発売される新製品のいずれにも利用可能とする予定でおります。詳細につきましては追ってご案内させていただきます。何卒ご理解のほどお願い申し上げます。

株式会社シグマ
代表取締役社長
山木 和人

という文章を読み、「そうしたお客さまにわずかでもご不快やご懸念を抱かせる事態を招いたとすれば、それは、当社にとってまさに痛恨の極みであるといえます」というあたりでいたく感じ入ってしまった。

もちろん、40万円相当のサポートプログラムという決断もすばらしいと思った。

そして、今日、DP1について調べていると次のような記事を見かけた。

……昨夜、郵便受けにシグマからの手紙が入っていた。電子メールではなく、紙に書かれて封筒に入っている手紙だ。おそらく、シグマに登録されている全ての SD1 ユーザーに発送したと思われる。内容は「シグマが最も重要な顧客と位置づけている現 SD1 ユーザーに対して、これから先イロイロなサポートを行います。」と言う内容であった。山木社長の自筆サイン入りで、この手紙を受け取った SD1 ユーザーは感激したことだろう。もちろん私も大感激。

  山木社長からの手紙 2011/02/10(ブログ maroの雑記帳)

山木社長の自筆サイン入りというあたりに、ユーサーに誠実に向き合うシグマの姿勢というか、山木社長の姿勢を感じた次第である。

さらに、こんな記事もあった。

イベントが終わってから、シグマの山木社長もわざわざこちらに来てくれて謝ってくれました。
ブログを見て「青ざめた」、と言っていました。
怒られると怖いので、「ブログに書いちゃってすみません」と一応言っておいたのですが、「いえいえ、それがなければ気付くこともできなかったし、これから体制を改善していきたい」とおっしゃってくれました。

  SIGMAの山木社長に会ってきた(ブログ [Z]ZAPAブロ~グ2.0)

「SIGMAのサポートにメールを送っても返事は来ないし、ブログに書いたらすぐにメールが来たし」という件についてらしいのだが、ユーザーに直接という姿勢は素晴らしいと思った。

「お客様係」などのスペシャリストが、一生懸命にクレーム処理などをするのも、それはそれで尊敬に値すると思うのだが(カメラメーカーのそういう関係の本を読んだことがあるので)、シグマのような大きな会社であっても今回のような対応が出来るというのはこれはこれで素晴らしいと感じた。

全くついでながら、つい先ほどまで、「山木社長」のことを「山本社長」と勘違いしていました。この記事を書くちょっと前にそのことに気づいた次第。やっぱり情報を仕入れるだけでなく、自分からアウトプットするというのは私にとっては有意なことのようです、はい。

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