私はデジタルカメラが好きで、かなりの数を買っているのですけど、その中でもコンパクトで画質に優れたカメラが幾つかあります。

少し前の機種では、FinePixF30というのが、室内で撮影してもなかなかの画質で気に入っていました。

ちょうど上の画像が、そのカメラの写真です。

撮り直して掲載しようと思ったら、すぐには見つからなくて、過去の写真から引っ張り出してきました。

スペックは、35mmからの3倍ズームで600万画素。今となっては平凡どころか、かなり見劣りする仕様だと思いますが、実は現在の1200万画素程度のデジタルカメラと比較しても良好な画像が得られたりします。(興味のある方は、検索してみると面白いかもしれません)

無理のないスペックが、良好な画像のモトかも知れませんね。

さて、ここからが本題です。

その、FinePixF30に関して、まだ日本未発売の時に、米国フロリダ州オーランドで行われたインタビュー記事がネット上にアップされているのを読みました。

【インタビュー】ISO3200を超える高感度にも挑戦したい
~富士フイルム電子映像事業部次長 渡辺憲二氏、米法人副社長 國本雅彦氏

興味深かったのは、次の部分です。

■ 高画素化へのアプローチは取らない
――F10の高感度技術は、徐々にその他の製品へと広がっていきましたが、F30の新世代高感度もまた、だんだんと広げていくのでしょうか?

「F30で採用した第6世代スーパーCCDハニカムは、今後、いろいろなタイプの製品に広がった行くでしょう。ただし、これ以上に画素数を増やすといったアプローチは取りません。今後、より小型のセンサーを作るといったことはあるでしょうが、F30の画素を増やしていくという考え方はありません」

「先にも話しましたように、我々は写真メーカーであり、イメージクオリティにこだわりがあります。以前、300万から400万、400万から500万といったところでは、画質の向上もありましたが、現在は画素を増やすことが画質の向上につながっていません」

「ほとんどのユーザーがL判程度にしかプリントしていない中、600万以上の画素があっても印刷結果には違いが出ないのです。これ以上のユーザー不在の不毛な競争はやめて、センサー特性の向上という技術的な進歩を高感度に向けるべきだと考えています」

――今後、さらに高感度特性に磨きをかけていくということでしょうか
「はい。第6世代のコンパクト機向けセンサーは600万画素にとどめ、進化の方向はすべて高感度特性向上に割り当てていきます。というのも、ISO3200でもまだ足りないと考えているからです」

「F2.8のレンズとISO3200では、まだ人間の目の感度には追いつきません。暗い場所で、人間が見た通りのシーンをキャプチャするには、さらに高感度特性の向上を図っていく必要があります。F30には組み込まれていませんが、デジタルミニラボのフロンティアは顔認識技術をハードウェアで実装しており、これを用いて人間の目で見た雰囲気に近づけるような露出制御も将来的には行なっていきます」

上のインタビューは、2006年3月2日の記事ですが、今から6年前の600万画素の時点で「画素を増やすことが画質の向上につながっていません」と答えています。

そして、「……600万画素にとどめ、進化の方向はすべて高感度特性向上に割り当てていきます」と言い切ったところまで読んで、「なんてまっすぐに画質を追い求めていた時代なんだろう!」と思いました。

ひるがえって、現在(2012-08-09)は、コンパクトデジタルカメラの低画素モデルにおいても1000万画素の時代です。6年間という時間の流れと「一年一昔」とも言われるデジタルカメラの世界では、案外、それほど変化がなかったのかな?とも思えます。でも、2000万画素や3000万画素オーバーという画素数はオーバースペックなのかもしれませんね。

ただし、上のインタビュー記事をよく読むと、「ほとんどのユーザーがL判程度にしかプリントしていない中、600万以上の画素があっても印刷結果には違いが出ないのです」とあります。そうすると、L版よりも大きなサイズでプリントする場合には、600万画素以上の画素数が活きてくるとも読めます。2L版だと、L版の倍の面積ですから、600万画素の倍の1200万画素くらいまでは画質に貢献するのかもしれませんね。

このブログを始めてから、かなりの数のデジタルカメラに触れ、またネット上その他の画像を閲覧してきました。

その経験から書くと、少なくとも「センサーサイズの小さなコンパクトデジタルカメラ」においては、画素数の多さは画質に貢献していないと感じています。ここでいう「画素数の多さ」は、1200万画素オーバーといったところです。例えば、1600万画素と1200万画素のコンパクトデジタルカメラだと、1200万画素機の方が良好な画質が期待出来るように感じました。もちろん、2012年現在の話ですから、来年はもう少し多画素でもOKかもしれません。

個人的には、たいていL版~2L程度のプリントですから、1200万画素あればこと足ります。(もちろん、それ以上のが素数が必要なときもありますけど)

それにしても、歴史に「もしも」はないのでしょうが、インタビューの答えどおりに現代のテクノロジーで600万画素機を作れば、さぞノイズの少ない優れた画質のデジタルカメラができるだろうなぁと想像してしまいました。

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